地下水管理と住民の取り組み

4 住民・自治会の動きと市水道部の対応

平成18年12月末、あわただしい年の瀬に、地元は初めて浄水場休止の情報を知った。住民が大切に守ってきた地下水の給水停止、府営水へ切り替える方針を打ち出した市水道部に対し、開自治連合会(650世帯)は、1月初めから浄水場継続を求める署名を開始。同じ水を飲んでいる隣接の2治会にも署名運動を呼びかけ、連携した動きに。 地元に対する市水道部の対応は次のようなものである。

(1)1月22日 市水道部から責任者2が、自治連合会長に初めて説明に。

休止理由は、原水の水質悪化の一点張り。議会報告にあった経費の問題は一切触れず。
突然の決定は、環境省の指導があったためで、安心安全な水を供給する立場を強調。

(2)1月25日 京都新聞に廃止の記事。

(3)2月27日 地元紙「城南新報」に同様の記事。

上記2紙の報道は市水道部の提供情報に基づくもので、水質悪化を印象づけ、休止の正当性をアピール、世論形成を意図していることが伺える。自治連合会長には全く説明のなかった老朽化と経費も休止の理由としている。

(4)3月5日 第1回地元住民への説明会

市水道部は「給水系統切り替えのお知らせ」と題する文書を配布。水道水の基準値を超えた環境汚染物質が検出している、地下水質改善の見通しが立たない状況にあるなどと、根拠のない休止理由をあげると共に、口頭でも同様のことを説明。

しかし多くの住民から、「昨日まで飲んでいた水を急に危険と言われ驚いた」「発ガン物質云々で住民を脅しているとしか思えない」「給水に問題がないのになぜ休止なのか」「環境省の指導は本当にあったのか」「防災の観点からも浄水場は残すべき」など質問、水質データに基づく反論や意見が相次ぎ、返答に窮する水道部。住民は、一方的に休止しないこと、過去10年間の水質検査結果、原水の汚染原因調査、他浄水場や府営水の水質及び経費等資料を要求。この結果、市水道部は、「地元住民の理解がないままに、一方的に3月末をもって休止しない」ことを確約。また、水質、経費資料を次回に提出すること、議事録を作成して提出することなどを約束。

(5)3月9日 市議会予算特別委員会(水道部局審査)

数人の議員が質問と意見。議員の追及の結果、開浄水場を急遽休止する理由としていた「環境省の指導」はなかったことを認め、陳謝。また浄水場原水の汚染原因調査を実施すると答弁。これらのことは翌日、地方紙2紙で報じられた。

(6)4月1日 第2回地元住民への説明会

市水道部は、前回約束した水質や経費資料、議事録等を提出。環境省の指導はなかったことも明らかにした。この結果、前回に筆者や住民が指摘した原水の水質悪化が進行している事実はないこと、他の浄水場でも環境基準を超える物質が継続的に検出されていること(市水道部は11月以来一貫してこの事実を隠している)など、休止理由の矛盾が浮き彫りに。市水道部は再び立ち往生、同じ説明を繰り返すばかり。休止は決定されたことで変更できないとも。自治連合会は、休止の根拠はないこと、住民の質問や問題点の指摘にきちんと返答できず、同じ説明を繰り返すばかりでは、説明責任を果たしていないこと。新しい提案をしない限り、次回説明会は行わないと市水道部に通告。また「一方的に休止・切り替えしないことを再確認」。

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